離婚にも修復にも利用できる調停。
調停離婚とは、裁判所に調停の申し立てをし、調停委員が間に入って離婚の話し合いをまとめる離婚の方法をいいます。
調停とは離婚に限らず、裁判所の調停員という第三者が介入することにより紛争治めることができ、裁判まで進むには費用や時間がかかるので、裁判より手続きが簡易ななめ広く利用されている制度です。
協議で話し合いがまとまらない場合には積極的に調停の利用をした方が良いでしょう。
また、相手が話し合いに応じない場合には、調停を申し立てると相手に裁判所から調停期日(調停が行われる日)の通知が届くようになりますので、裁判所からの通知という事で相手に話し合いに応じなければならないという心理的効果も期待できます。
なお、調停離婚は、日本の離婚の約9%を占めており、その認知度の高まりもあり、現在その利用率も上がってきています。
家庭裁判所の家事相談室
調停を申し立てに不安がある場合には、家庭裁判所には「家事相談室」というものがあります。
この家事相談では、申し立ての方法、申し立てに使用する書類についての説明や、家庭環境の調整やアドバイスをしてくれます。
相談は無料で、相談したからといって調停を申したてなければならないということもありません。
裁判所はなんだか怖いイメージがあったり、弁護士が必要なのではないかとためらったりしてなかなか調停に踏み出せないという方にはお勧めです。
ただし、調停を有利に進めてくれるというものではなく、あくまでも手続きなどの相談に限ります。
このサイトには全国の裁判所を掲載しておりますのでそちらからお電話で問い合わせてみてください。
離婚調停は裁判ではない。
相手に、協議離婚に応じてもらえない場合には、すぐに離婚の裁判をするのではなく、家庭裁判所に離婚調停の申立て を行う必要があります。
調停は、裁判のような強制力があるわけではなく、あくまでも調停員を介した話し合いであるため最終的に夫婦の合意がなければ離婚は成立 しません。
裁判と混同している人がいますが裁判とは全く別で、裁判の前には必ず調停をしなければなりません。
とてもお節介な制度ですが、これを調停前置主義といいます。
例外として、相手が行方不明の場合はどうしようもないのですぐに裁判所に裁判を提訴することができます。
なお離婚成立寸前で夫婦のどちらかが出頭義務に応じない場合、家庭裁判所は調停委員の意見を聴いて、独自の判断で離婚の処分をすることができます。
これを「審判離婚」と言い、夫婦双方の利益になると判断した場合にのみ行われます。
調停は離婚をするだけのものではない!
一般的に離婚に関する調停のことを離婚調停と呼ばれますが、本来の名称は夫婦関係調整調停といいます。
これは離婚だけを調停の目的としているわけではなく、夫婦関係を修復したいといったときにも調停の制度を利用することができるのです。
こういった利用の仕方はあまり知られていないようなので、夫婦関係を修復したいといったときにも調停という制度は利用することができます。
調停委員は離婚の専門家ではない!
離婚調停では、調停委員2名と家事審判官(裁判官)1名が出席します。
離婚調停当日には、調停委員の男女1名ずつが選ばれ、調停が運営されて行きます。
裁判官は、毎回は出席することがなく、一般的には調停が終了になる段階で参加するようになります。
ここで注意が必要なのは、調停委員も裁判官も離婚の専門家ではないということです。
調停委員も裁判官もあなたの味方ではありませんし、離婚に対してどのような取り決めをするべきかを教えてくれるものではありません。
特に調停委員はアタリハズレが大きく、ハズレの調停委員の場合はやる気のなさが目に見えてわかるようです。
どちらにしても、調停委員がどのような人なのかは実際に会ってみないと分からないというところが難しいところではあります。
離婚調停には弁護士は不要?
ネットの情報では離婚調停に弁護士はいらないといったようなものが多くありますが、実務で離婚に接している私からすると、何を言っているのかと疑問を感じます。
弁護士に依頼しなくても調停を乗り切れるのは知識と時間がある人だけだと思います。
全ての人に知識と時間があるわけではなく、知識を身に着けるだけの時間がないという人の方がほとんどです。
それに、離婚後に何らかの問題が発生して相談者の調停調書を拝見することもよくありますが、弁護士に依頼せずに調停を行ったということは調停調書を見るだけで一目でわかります。
もちろん調停には必ず弁護士を介入させなければならないという決まりはありません。
確かに離婚を専門に扱っていない弁護士に依頼してしまったばかりに、離婚調停がうまくいかなかったという話も聞きます。
我々のような専門家のようにこの業界にいなければ離婚を専門にしているかどうかはわかりにくいかもしれませんが、離婚を専門に扱っている弁護士に依頼すれば調停を有利に進めてくれる可能性はとても高いのです。
また相手が調停に弁護士を付けてきた場合は、あなたも弁護士に依頼した方が良いでしょう。
離婚を専門に扱っていて場数を踏んだ弁護士に素人がかなうわけがないのは明白なのです。
私の場合、依頼者が調停まで進んでしまうといった場合には安心して私の依頼者をお任せできる弁護士がいますが、一般の方なら離婚を専門にしている弁護士を探すところから始めないといけないというのが難しいところではあります。
弁護士を選ぶ際にはこのサイトで何度も触れていますが
セカンドオピニオン
つまり二つ以上の弁護士事務所に相談をするようにしてください。
弁護士事務所によって方針も違いますし、あなたと合う合わないということが必ず出てきます。
たまに他にも弁護士事務所に相談をしていると言ったらあからさまにいやな顔をされたという話を聞きますが二つ以上の事務所に行って嫌がるような弁護士なら最初から依頼しない方がいいでしょう。