離婚協議書作成・前文

離婚協議書の前文の解説です。

前文とはその書面を作成した理由や目的を記載する部分になります。

必ずこの前文を記載する必要はないのですが、一般的な契約書や合意書、協議書等の文書には記載されていることが多いものです。

この前文があった方が文章全体も締まりますし、文章の目的が一目でわかります。

離婚協議書・前文の例

文章は以下のようになります。

夫〇〇〇〇(以下「甲」とする。)と妻〇〇〇〇(以下「乙」とする。)は、本日、協議により離婚することに合意し、その届出にあたり、以下のとおり契約を締結した。

離婚協議書の例はこちら

公正証書にすると、多くの場合この文章が第1条に記載されるようになります。

ちなみに公正証書にする場合は以下のような組み合わせになります。

離婚給付等契約公正証書

本公証人は、平成00年00月00日、××××公証役場において、後記当事者から証書の作成を嘱託されたのでその陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

本   旨

第1条(離婚の合意等)
夫〇〇〇〇(以下「甲」とする。)と妻〇〇〇〇(以下「乙」とする。)は、本日、協議離婚すること及び、乙においてその届出を速やかに行うことに合意し、その届出にあたり、以下のとおり契約を締結した。

簡単な一文なので特に注意するところはありませんが、前文でも条項に記載する場合でも離婚に合意したことを記載するようにしておきます。

離婚の合意とは、日本の法律では離婚自体が夫婦双方の合意に基づかなければ成立しないことから、この合意があったことを明確にするものです。

いくら夫婦の周りの人(第三者)が離婚をさせようとしても、夫婦双方の合意がなければ離婚は成立しないということで、あえ合意があったことを夫婦で確認するために前文または条項に記載するようにします。

その離婚の合意の過程に脅迫や虚偽があった場合は離婚の無効や取消の原因になる可能性があるので、離婚の合意の過程に脅迫や虚偽がなかったことを証明する意味でも用いられます。

しかし離婚協議書に記載されているからと言って実際に離婚の合意の過程に脅迫や虚偽があれば、離婚も離婚協議書自体も無効になりかねないので、当然ですがしっかりと話し合って合意に至るべきですね。

なお、夫婦の離婚はお互いの合意に基づかなければならないと言っても、例外として法定離婚原因があれば裁判所が判決で強制的に離婚させるといったことはありますが、それは例外としてとらえておいてください。

離婚原因の記載例

上の例の場合は離婚理由として「協議により離婚」と記載していますが、離婚原因を記載しておくこともできます。

例としては以下の通りです。

性格の不一致を離婚原因とする場合。

夫○○○○(以下「甲」とする。)と妻○○○○(以下「乙」とする。)は、本日、性格の不一致を原因とし協議により離婚することに合意し、その届出にあたり、以下のとおり契約を締結した。

夫の不貞行為を原因とする場合。

夫○○○○(以下「甲」とする。)と妻○○○○(以下「乙」とする。)は、本日、甲の不貞行為を原因とし協議により離婚することに合意し、その届出にあたり、以下のとおり契約を締結した。

・・・というように、離婚原因を明確にしておくこともできます。

これは特に意味が無いようにも思えますが、離婚後に新しいパートナーが現れた時や第三者に離婚協議書を見られてしまった場合、性格の不一致が原因の場合は、この離婚に対して寛容になった世の中でしたら「1度や2度の失敗ぐらいある」と思われるかもしれません。

また、相手方の不貞行為が原因の場合は、自分に非がなかったことを解ってもらえるようになりますし、慰謝料の発生原因が相手の不貞行為だということも明確にできます。
(非がある方は離婚協議書を新しいパートナーに見られないように隠し通してください。)

どちらにしても離婚の合意があったことを明確にすることと目的を記載する文章になりますので、離婚原因まで細かく記載する必要はありません。

非のある方は嫌がる可能性もあるので、あまり気にするところではないですね。

次の記事「第1条(親権者及び監護養育者)」はこちら

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