離婚協議書作成・第4条(慰謝料)

第4条(慰謝料)についての解説です。

慰謝料とは、婚姻期間中に相手から受けた精神的苦痛や離婚原因を作った配偶者(有責配偶者)に対する損害賠償のことです。

精神的苦痛に対して謝罪を受けてもしょうがないので、その苦痛の度合いを金銭に換算して支払ってもらうものです。

しかし離婚したからと言って当然に慰謝料が発生するものではありません。

慰謝料が認められるためには、男女に関係なく、離婚理由を作ったという有責行為(離婚の原因を発生させる行為)を相手が行ったことが前提となります。

離婚理由として多い「性格の不一致」や「価値観の相違」というものは一般的に夫婦のどちらか一方が悪いというわけではないので慰謝料が認められない可能性があります。

慰謝料とは少し違いますが、離婚をしたい方の配偶者が相手を納得させるために慰謝料の代わりに一時金を「解決金」として支払うということもあります。

早期に離婚できるのであれば出費を惜しまないという人もいるという事ですね。

その他に慰謝料の代わりとして「扶養的財産分与」を支払うケースもあります。
(扶養的財産分与については財産分与の記事へ)

離婚時に慰謝料としての請求を考えたときには、離婚に至った原因、相手がどのように離婚のきっかけを作ったのかという理由を明確にする必要があります。

離婚慰謝料の発生原因

一般的に離婚慰謝料の発生原因としてあげられるのは以下のものです。

  1. 浮気・不倫
  2. DV(家庭内暴力)
  3. モラルハラスメント(精神的な暴力)
  4. 生活費を渡さない
  5. 理由のない同居の拒否
  6. セックスレス

1の浮気・不倫や2のDV(家庭内暴力)は一般的によく知られていますね。

3のモラルハラスメント(精神的な暴力)はモラハラとよばれ、これは最近ご相談でも男女を問わず非常に増えてきました。

4の生活費を渡さないであったり、5の理由のない同居の拒否は、「婚姻生活の維持への不協力」や「悪意の遺棄」といわれるものです。

夫婦には同居義務、協力義務、助け合う義務というものがあり、夫婦の一方が婚姻生活を維持しようと努力しているにも関わらず、もう一方が婚姻生活の維持に理由もなく協力しない状態のことになります。

6のセックスレスは、夫婦の一方がセックスを求めていて、求めている側に落ち度がないにも関わらず、もう一方が理由もなくそれを拒み続けることです。

しかし、上記の慰謝料発生原因に該当したからと言って必ず慰謝料が発生するわけではありません。

また、上記の慰謝料発生原因に該当しなかったからと言って慰謝料が発生しないわけではないのです。

浮気や不倫でも、肉体関係の回数が少なかったり、交際期間が短かったりすると慰謝料としては低額になりますし、相手が認めなければ証拠が必要になります。

慰謝料の発生原因は個々の事情により様々で、一概には線引きができないといったところでしょうか。

もちろんどのような場合でも、証拠と交渉力さえあれば慰謝料を獲得する可能性は高まります。

慰謝料の相場

慰謝料の金額は100~300万円が相場とされています。

しかしこれも単なる相場と言うだけで、数十万円という事もありますし500万円をゆうに超えることもあります。

これは慰謝料の額には、有責配偶者のの収入や資産状況が大きく関係し、いくら精神的損害が大きいからと言って高額な慰謝料を獲得できるとは限りません。

交渉力もなく証拠もなければ、もっと低額になることもあります。

交渉力もなく証拠がなくても有責配偶者がある程度の金額を支払うことに合意をするのであれば問題はありませんが、こればかりは交渉に入ってみないとわかりません。

有責配偶者に慰謝料を支払う支払能力があるのであれば、迷わず専門家に依頼した方が良い結果になるでしょう。

慰謝料の離婚協議書への記載のしかた。

離婚協議書に記載するときは以下のような文章になります。

第4条(慰謝料)
甲は乙に対し、本件離婚に伴う慰謝料として金00万円也を支払う義務があることを認め、下記支払方法の表示のとおり分割し、本件離婚の成立日の属する月か らその支払いが終了するまでの期間(全24回に亘り)、毎月末日限り乙の指定する金融機関の口座に振込み送金の方法により下記の方法により支払う。但し、 当該金融機関が休日の場合は翌営業日とし、その支払に関する費用は、甲が負担するものとする。

支払い方法の表示
1回目       金0万円也
2回目から24回目 金0万円也

離婚協議書の例はこちら

上記の例では分割で支払うようにしていますが、財産分与と同様に一括で支払うようにすることもできます。

一括で慰謝料の支払いを完了させる場合は以下のようになります。

第4条(慰謝料)
甲は乙に対し、本件離婚に伴う慰謝料として金00万円也を支払う義務があることを認め、本件離婚の成立日の属する月の末日限り乙の指定する金融機関の口座に振込み送金の方法により支払う。但し、 当該金融機関が休日の場合は翌営業日とし、その支払に関する費用は、甲が負担するものとする。

財産分与と同様に、慰謝料は高額になることが多く一括で支払いを完了することができればいいのですが、一括で支払えない場合は分割での支払を選択します。

財産分与についてはこちら

また一括で支払うより、一時的な経済的負担の少ない分割での支払いの方が、支払い義務者も合意しやすい傾向にあります。

記載するときの注意事項としては、分割の場合は財産分与のと同様に支払い期間に注意して記載しましょう。

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