離婚の際に称していた氏を称する届の記入例
最近では、仕事の関係や各種名義変更の煩雑さを避けるため、又は子供の学校での影響を配慮し、離婚後も婚姻中に称していた氏(姓)を引き続き称するということも増えています。
婚姻中に称していた氏を離婚後も称するためには「離婚の際に称していた氏を称する届出」を離婚届けと同時、または離婚後に届け出なければなりません。
離婚届けと同時に届け出る場合と、離婚後に一旦婚姻前の姓に戻ってから届ける場合とで、その取扱いと記入のし方が変わってきますので注意が必要です。
ここでは「離婚の際に称していた氏を称する届出」の記載の仕方を離婚届けと同時に届け出る場合と、離婚後に届け出る場合に分けて見ていきましょう。
離婚の際に称していた氏を称する届は市区町村役場で入手することもできますし、下記のリンクからダウンロードすることもできます。
ダウンロードしたものを使用するときの注意点。
- 必ずA4の用紙に印刷して使用してください。
- 離婚の際に称していた氏を称する届出は長期間保管されるものなのでインクが消えてしまう恐れのある感熱紙は使用不可です。
- 市区町村役場によってはダウンロードしたものを受け付けてくれない場合があるので、利用前に必ず提出しようとする役場へ問い合わせてください。
離婚届けと同時に提出する場合
記載する事項は、全て戸籍謄本に記載されている通りに記載しなければなりません。
氏名
- 漢字は略さずに正確に記入します。(旧字体等)
- 記載する氏は離婚前(婚姻中)のものになります。
生年月日
元号と西暦のどちらを使用するかの決まりはないのですが、戸籍に記載されている通り、元号で書いておいた方が無難です。
住所
- 住民票に登録されている住所を記載します。
- 離婚前に別居をしていて、住民票を移している場合はその移した後の住所を記入します。
- 番地・番と記載されている部分は不要なものを横線で消すようにします。
本籍・筆頭者の氏名
戸籍に記載されている通りに記入します。
記載する本籍及び筆頭者の氏名は離婚前(婚姻中)の戸籍を参照します。
氏(変更前と変更後)
変更前・変更後ともに離婚前(婚姻中)の氏を記入します。
離婚年月日
協議離婚の場合、離婚届けと同時に提出する場合は、離婚届けの届け出年月日を記入します。
その他調停や裁判離婚の場合は、その成立又は確定した日付を記入します。
離婚の際に称していた称した後の本籍
離婚後に離婚の際に称していた氏を称する場合は、新しく戸籍を編成する必要があるので、戸籍を置く本籍地と離婚前(婚姻中)の氏名を記入します。
なお、本籍は日本国内の地番があるところであれば、戸籍に記載される人が任意に定めることができます。
つまり、現住所とは無関係にどこでもかまわないのです。
しかし、本籍地を置く場所に特に制限はありませんが、今後の手続きに支障をきたすような場所は避けましょう。
(東京に住んでいながら、本籍地を北海道に置く等)
届出人
離婚前(婚姻中)の氏名を記入します。
印鑑は認印でも構いませんが、離婚届けに押印した印鑑を使用した方が無難です。
離婚届を届け出た際に、一旦婚姻前の姓に戻った場合
こちらは離婚の際に、一旦婚姻前の氏(旧姓)を称するようになった後に、もう一度離婚前(婚姻中)の氏を称する場合の記入例です。
離婚届けと同時に届け出る場合と同様に、戸籍謄本に記載されている通りに記入しなければなりません。
氏名
- 漢字は略さずに正確に記入します。(旧字体等)
- 記載する氏は婚姻前(旧姓)のものになります。
住所
- 届出時点で住民票に登録されている住所を記載します。
- 番地・番と記載されている部分は不要なものを横線で消すようにします。
本籍・筆頭者の氏名
戸籍に記載されている通りに記入します。
離婚の際に新たに戸籍を編成した場合は、その戸籍を参照します。
この場合、筆頭者はご自身が筆頭者になっていることが多いと思います。
離婚の際に元の戸籍に戻った場合は、その戸籍を参照し、一般的にはご両親のどちらかが筆頭者となっている場合が多いでしょう。
氏(変更前と変更後)
- 変更前→婚姻前の氏(旧姓)を記入します。
- 変更後→離婚前(婚姻中)の氏を記入します。
離婚年月日
協議離婚の場合、離婚届けと同時に提出する場合は、離婚届けの届け出年月日を記入します。
その他調停や裁判離婚の場合は、その成立又は確定した日付を記入します。
離婚の際に称していた称した後の本籍
離婚届けの届け出の際に新たな戸籍を編成していた場合は、その戸籍にご自身以外の誰も記載されていない(同籍する者がいない)場合、記入は不要です。
婚姻前の戸籍に戻っていた場合は、新しく戸籍を編成する必要があるので、戸籍を置く本籍地と離婚前(婚姻中)の氏名を記入します。
届出人
婚姻前(旧姓)の氏名を記入します。
印鑑は認印でかまいません。(シャチハタ・ゴム印不可)
届け出る際の注意点
届出期間は離婚の日から3か月以内です。
3か月を経過してからこの届け出をしようとする場合は、家庭裁判所の許可が必要となるので、この期間が経過しないうちに早めに手続きをするようにしましょう。
また、一旦この届け出をしてしまうと、婚姻前(旧姓)の氏に戻るには、これも家庭裁判所の許可が必要になります。
届出先
離婚の際に称していた氏を称する届出は全国どこの役所に提出しても受理してもらうことができます。
ただし、提出する市区町村役場が本籍地の管轄ではない場合、戸籍謄本(全部事項証明書)を添付しなければなりません。
本籍地が遠方の場合は、郵送でも戸籍謄本を取得することができるので、本籍地の市区町村役場に問い合わせてみましょう。
この記事のまとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事は、離婚後に婚姻中に称していた氏を称するために必要な届け出を見てきました。
女性の社会進出も進み、お仕事をされている女性にとっては、離婚後に氏が変わってしまうと何かと不便があるかもしれません。
またお子様がいて親権を取得した場合は、お子様の氏が変わってしまうと、学校での影響も少なからずあるかもしれません。
元夫の氏を称することに嫌悪感がない場合は、なにかと便利な制度でもあります。
なお、いくら元夫やその親族が、この届け出をすることに異議をとなえるようなことがことがあっても、なんら影響ありません。
例え離婚協議書等に「妻は婚姻中の氏を称することはしない」等と定めていても、この部分は無効となります。
離婚前の氏か旧姓かを称するのは、あなたの自由なので離婚後の生活に便利な方を選ぶようにしましょう。
最後に・・・3か月の期間制限にはご注意を!