離婚協議書の書き方・構成
ここでは離婚協議書の構成について見ていきます。
離婚協議書の構成は一般的に「題名」「前文」「本旨」「本旨外要件」というふうに、上から順に並べていくようになります。
離婚協議書だけではなく様々な契約書もこのような構成で作成されるのが一般的でしょう。
一般的な契約書が同じような構成をとっているということは、誰が見ても見やすいということになります。
見やすさというものは大事なものなので、離婚協議書は一般的な契約書の構成にならって構成するようにしましょう。
題名
題名は、その文書に離婚に関する取り決めが記載されているものだと分かればなんでもよいでしょう。
例としては以下のものになります。
- 離婚協議書
- 離婚給付等契約書
- 離婚に関する取り決め書
- その他・・・等
そして、離婚協議書には題名がなくてもとくに問題はありません。
ただ題名がないと文書の見た目として少し締まりのないものになってしまうので、題名は付けた方が見栄えは良いでしょう。
私が作成するときは当事者にこれは「契約」なのだという事を意識してもらうため、「離婚給付等契約書」という題名を使用します。
前文
前文とは、その契約書がどのような目的で作成されたのかという事がわかる文章が入ります。
この前文も特に必要ではないのですが、入れておいた方が文章全体も締まりますし、誰が見ても一目で文章の内容を把握することができます。
公正証書の場合
例として公正証書の場合は以下のような前文が入ります。
公正証書にしない場合は、以下のような文章を入れておけば良いでしょう。
本旨
本旨とは、当事者で決めた事柄を記載する部分になります。契約書の一番重要な部分です。
民法には「契約自由の原則」というものがあり、ある程度は当事者で自由に契約を結ぶことができますが、
「明らかに不可能なもの」
「公序良俗に反するもの」
については、契約を結ぶことはできません。
例えば、年収200万円の者に不倫に対する慰謝料として一億円請求したり、契約を履行しなければ腕を切り落とす等、あまりにも非常識な内容は締結できません。
上記の例はかなり極端ですが、つまりは締結できない契約もあるという事です。
本旨外要件
本旨外要件とは、契約成立年月日の記載、当事者の署名押印をする箇所になります。
当事者とは夫婦の二人だけでなく連帯保証人を付ける場合は、その連帯保証人も当事者となるので、連帯保証人の署名押印も必要になります。
人物の繰り返し
繰り返し登場する人物は同じ名前を繰り返すのは読みづらいですし、文字数も多くなってしまうため、甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)と表記します。
ちなみにもっと登場人物が多くなると、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)と続きます。
条建てにする
条建てとは、法律の条文で目にする、第〇条、第〇項、第〇号・・・といったような形式のことです。
号まである法律の条文を見つけにくかったのですが、以下労働基準法から引用
第十二条 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
「第十二条 この法律で平均賃金とは・・・・」から始まる文章が「条」になります。
次に漢数字から始まる「一 賃金が、労働した日・・・」「二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間・・・」からの文章が「項」になり、「条」の一つ下層にあたり、「条」対して条件を付けるような場合に用いられます。
次にアラビア数字から始まる「2 前項の期間は、賃金締切日・・・」からの文章が「号」になり、「項」に対して、さらに条件などを付けるときに用いられ、「条」から見ると二つ下層に当たります。
あまりしっかり覚える必要もないのですが、つまり「条」「項」「号」の順番があるということだけイメージしておけば良いでしょう。
この記事のまとめ
この記事では、離婚協議書の構成について見てきました。
構成は離婚協議書の見本を見てもらうのが一番早いのですが、少しだけ離婚協議書の構成について触れてみました。
必ず決められた構成にしなければならないというわけではありませんが、一般的に用いられるものにならって、誰が見ても分かるようにするということは重要な事なので、あまり上記の構成以外のものを用いるのは避けましょう。
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