離婚協議書作成・第3条(財産分与)
第3条(財産分与)についての解説です。
財産分与とは夫婦が「婚姻してから離婚するまでに夫婦で築いた財産」を離婚時に分割することをいいます。
婚姻してからという事は、婚姻以前から夫婦のどちらか一方が所有していた財産は財産分与の対象にはなりません。
例えば夫が婚姻前から不動産を所有していて、婚姻後にはその不動産に夫婦で住んでいたような場合は、この不動産は夫の特有財産となり、財産分与の対象にはならないのです。
また夫婦の一方が相続により取得した財産も特有財産となり財産分与の対象にはなりません。
なお、金銭だけでなく、不動産はもちろん、乗用車や家財道具、その他一切の動産も財産分与の対象になります。
財産分与の離婚協議書への記載の仕方
離婚協議書に記載するときは以下のような文章になります。
甲は乙に対し、財産分与として金000万円也を支払う義務があることを認め、離婚成立の日が属する月の翌月末日限り、一括して乙に支払う。支払い方法は、 乙の指定する金融機関の口座に振込送金の方法により支払う。但し、当該金融機関が休日の場合は翌営業日とし、その支払に関する費用は、甲が負担するものとする。
上記の例では、離婚成立月の末日に一括で支払うように記載していますが、財産分与の支払いを分割での行う場合は、以下のようになります。
甲は乙に対し、財産分与として金000万円也を支払う義務があることを認め、平成00年00月から平成00年00月までの間、各月末日限り、下記の方法により分割して乙に支払う。支払い方法は、 乙の指定する金融機関の口座に振込送金の方法により支払う。但し、当該金融機関が休日の場合は翌営業日とし、その支払に関する費用は、甲が負担するものとする。
第1回 金00万円也
第2回から第00回まで 金00万円也
一括で財産分与をする額が支払えない場合は、分割にすることになります。
これは一般的に夫が妻に養育費を支払っていったり、慰謝料を支払う上でどうしてもまとまった金額が用意できないという事が考えられます。
また不動産のについての財産分与がある場合は、不動産を売却する等のの処理をしなければならず、どうしても即まとまった金額を用意できません。
そのようなときは分割で支払うことにし、夫の負担を軽減するように、このような方法を取るようにします。
また、無理に一括で支払うことを請求するより分割で支払うように請求すれば支払う方も納得しやすい傾向にあります。
第1回目の支払いを少し多目にして、残りの分を残回数で均等割りし切の良い数字で分割した方がお互いにわかりやすくて良いでしょう。
財産分与を分割で行う場合の注意点
財産分与を分割で行う場合、分割での支払回数とその金額だけを書いてしまっているものを見ることがありますが、それではいけません。
離婚協議書を公正証書にし、将来強制執行をしようとする場合、公正証書の性質上、「結局総額でいくらの支払義務があるのか」ということを明確にしておかなければ、将来不払いが発生したときに強制執行ができないのです。
なので、分割の場合は、しっかりと「財産分与として金000万円也を支払う義務があることを認める」等という文言で、その財産分与の金額を明確にしておかなければなりません。
支払期間は正確に!
一括で支払いが完了する場合は問題ないのですが、分割の場合だと支払い期間と支払い回数に相違が出てしまうとその整合性が取れなくなってしまいます。
これによって離婚協議書に記載した財産分与の条項そのものが無効になるようなことはありません。
支払の終期が到来しているのに支払わなければならない金額が残っているような状態だと、支払う側は支払い期間の終期で支払いを止めてしまうことになります。
これは悪意でもなんでもなく、支払う側も単なる勘違いという事になります。
毎月分割金を支払っていくのならあまり間違いは起こらないのですが、2か月単位や3か月単位での支払となると間違いやすくなるので注意しましょう。
その勘違いだけで変に揉めるのバカバカしいですからね。
離婚協議書への記載のポイント
財産分与の記載のポイント
- 財産分与される金額の総額を明確に
- 支払期日、支払い方法を明確に
- 分割で行う場合、月々の支払金額、支払い期日支払い方法を明確に
なお、この上記の例では金銭のみの記載になりますが、不動産や乗用車等の動産も、この財産分与の条項に記載することになります。
家財道具等のあまり細々したものは、あまりに高価なものでなければ、記載せずに夫婦の各々が必要なものを持ち出すという形にすることが多いでしょう。
財産分与のまとめ
- 財産分与の対象は共有財産。
- 特有財産は財産分与の対象外。
- 妻が無職でも収入額が低くても財産分与は行われる。
- 一括払いか分割払いはその他の支払に応じて柔軟に。
- 分割の場合は支払い期間と支払い回数に注意。
金銭以外にも動産(乗用車や家財道具等の不動産以外の物)や不動産も財産分与の対象になりますが、不動産があるととんでもなく面倒です。
不動産は離婚の際には本当に邪魔でしかありません!
・・・が・・・その話はまた後日・・・