調停に代えて強制的に離婚を成立させる審判離婚。
審判離婚とは、離婚調停をしている夫婦が調停でも話がまとまらず、調停が成立する可能性が低い場合に家庭裁判所は調停委員の意見を聴きき調停に代え、裁判官が職権で審判により離婚を成立させるというものです。
家庭裁判所での調停のひとつの終結方法で、夫婦双方の意に反して強制的に離婚を成立させるようになります。
調停で審判が下されることはほとんどない
調停での話し合いがまとまらず、調停が不成立になっても、審判離婚となることは極めて少なく、ほとんどの場合は裁判へと移行することになります。
審判離婚は家庭裁判所の離婚調停において、もう少しで合意に至る段階に来ているにも関わらず、双方の少しの主張のズレなどにより最終的に調停が不成立になりそうな場合に限り行わます。
具体的には以下のようなケースが当てはまります。
- 実質的な離婚の合意はあるにもかかわらず、なんらかの事情で夫婦の双方、又は一方が調停成立時に出頭できないとき。
- 離婚に合意したにも関わらに、夫婦の一方が気持ちが変わり、出頭を拒否したとき。
- 離婚に合意できない理由が主に感情的反発であるなど異議の申立ての可能性が事実上ないとき。
- 親権者の争いなどで、その時点における家庭裁判所の判断を示すことが夫婦の利益になるとき。
以上のようにかなり限定的な場合に限り行われることになり、審判離婚がおこなわれるのは不成立になった調停のうち1%程度です。
裁判離婚のように審判離婚に進む可能性は極めて低いので、こういったものもあるのだと知っておけば良いので、あまり気にする必要はありません。
審判離婚は簡単に覆される
審判が確定した場合、成立後には、市区町村の役場へ離婚届の提出を10日以内におこなえばそれだけで離婚が成立します。
しかし、審判に納得がいかなければ、裁判所に対して異議申立てをおこなうことができますが、この異議申立てをおこなえば、その審判内容は無効となります。
異議申し立ては、書名捺印を行った異議申立書に、審判書の謄本を添えて審判を下した家庭裁判所に提出します。
この手続きを審判の告知を受けてから2週間以内におこなえばその審判は確定されることになります。
ただ単に異議申立てをおこなうだけで、審判が無効となってしまい、結局は裁判に移行しなければならないといった点もあるのが、この審判離婚があまり利用されない理由にもなっているのでしょう。
しかし、弁護士によってはうまく審判離婚の制度を利用する場合もあります。
調停でま離婚が成立しなければ裁判に移行しなければならないので、裁判に進むよりは審判離婚で決着をつけた方が依頼者のためにもなるからです。
協議がまとまらず離婚調停に進んだ場合は、審判離婚に移行する可能性があることも考えることが必要です。
審判離婚を利用するためには先を見据えた高度な判断が必要となるので、離婚調停をすることとなって、もし弁護士に依頼するのであれば、必ず離婚を専門に扱っている弁護士に依頼しましょう。